婚前交渉

「ずっと、こうしたかった…」僕は彼女の首元に唇を埋めると、ずっと言いたかったセリフを言った。
「え…なに?」美優は、赤らめた頰で聞き返す。

それは、最初で最後の僕にとっては最高の性行為だった。
美優は、もうすぐ結婚する。僕ではない他の誰かと…。

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彼女に出会ったのは今から5年くらい前になる。
ちょうど様々な情報や知識を取り入れたい時期だった。

講演会やシンポジウム、勉強会などに都合がつけばどんどん参加していた。

ある日、友人から「今度、障害者の性についての勉強会をしようと思うんだけど、参加しない?」と言われた。
聞けば、アドバイザー講師として障害者の性の活動で有名な山川氏も来てくれるらしい。

「それはすごいね。ぜひ行きたい」と僕は言った。